学校伝染病について
保育園・幼稚園・学校へ行ってもよいか? 休まなければならないか?
1) 手足口病・ヘルパンギナ
手足の水ぶくれが乾いて、口内炎が治っても、便の中には原因のウイルスが長い間出て来ます。 トイレで用を済ませた後は手洗いをきちんとしましょう。
口内の発疹で食事を取りにくい、体がだるい、下痢、頭痛などの症状がなければ、学校を休む必要はありません。
2) 伝染性紅斑
顔が赤くなり、腕や腿、体に発疹が出たときはすでにうつる力が弱まっていることから、発熱、関節痛などの症状がなく、本人の健康状態が良好であれば、学校を休む必要はありません。
また、一旦消えた発疹は日光にあたったり、興奮したり、入浴後などに再び出てくることがありますが、これらは再発ではありませんので心配いりません。
3) 頭虱 〔あたましらみ〕
互いに触れ合って遊ぶ機会の多い幼児・小学生に最近ではよく発生します。 発生した場合はその周囲がみんな一斉に治療を始めることが大切です。 一人を出席停止にしてもすでに周りにうつっている場合もあります。
頭虱は決して不潔だから感染したのではありません。 頭虱だからと差別扱いしてはいけません。 治療処置を始めさえすれば、学校を休む必要はありません。
4) 伝染性軟属種 〔みずいぼ〕
幼児・小児によく生じ、放っておいても自然に治ってしまうこともありますが、それまでには長期間を要するため、周囲の小児に伝染することを考慮して、治療します。
プールなどの肌の触れ合う場ではタオルや水着、またはプールのビート板や浮輪の共用を控えるなどの配慮が必要です。 この疾患のために、学校を休む必要はありません。
5) 伝染性膿痂疹 〔とびひ〕
水ぶくれや糜爛(びらん)からの浸出液を触ったり、引っ掻いたりすると、中の細菌で次々にうつります。 特に鼻の入り口には原因の細菌が沢山いるので鼻をいじらないようにしましょう。
病変が広範囲の場合や全身症状のある場合は出席停止を必要とすることがありますが、病変部を外用処置して、きちんと覆ってあれば、学校を休む必要はありません。
平成15年12月 日本臨床皮膚科医学会
参考資料
水イボ(伝染性軟属種)
『胆江日日新聞』2004年7月9日掲載より
気温が上ってくると、目に見えて患者さんが増えてくるのがトビヒです。 破けやすい水ぶくれを作り、またジクジクしたカサブタをつけて、どんどん増えてい く皮膚病です。 ジクジクしたところには原因となる細菌がたくさんいますので、触ったり引っかいたりしているとあちこちに飛んで(飛火のように)新しい病 変部を生み出します。
原因菌の多くは黄色ブドウ球菌です。 以前には抗生物質がよく効いたのですが、今は抵抗力の強いMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の割合が増加し て、効き難いものが多くなってきました。 このMRSAを保有している人たちは、かつては老人施設や病院関係者など、抗生物質を使う機会が多いところに入 院していたり、勤務している人の家族などに限られている場合が多かったのですが、今ではそういったことに関係なく広まっています。
治療は抗生剤(化膿止め)を含んだ軟こうをぬったり、抗生剤を飲んだりが基本となりますが、目に見えない範囲で、すでに菌が広まっている可能性があるの で、抗生剤を飲んだ方が確実です。 また、病変のところはシャワーで流したり、せっけんで洗ったりして、きれいにした方が早く治ります。 病変部は薬を ぬった後、きちんと覆って拡大を防ぐようにします。
病変部が広く全身的に拡大していなければ、きちんと治療を始めて覆ってあれば学校を休む必要はありません。 ただし、もちろんプールには入れません! トビヒと思ったら、あまり広まらないうちに専門医にかかって早く治してしまいましょう。
水イボ(伝染性軟属種)
『胆江日日新聞』2004年7月9日掲載より
プールに入るころになると、幼稚園や学校で問題となるのが水イボです。 水々しく見えて、光沢のあるボツボツが出来るのが水イボです。 しかし、これは水 ぶくれではありません。 ボツボツの中には白っぽい固まりが入っています。 この中に原因となるウイルスがつまっているのです。
引っかいたりしているうちに数が増えてきます。 プールやお風呂などの肌と肌が触れ合う場や、プールでのビート板やタオルなどを共用することによって伝染してしまいます。 とりわけ乾燥肌やシッシンがあったりするとより感染しやすくなります。
放って置いても、拡大しない場合には、自然に治ってしまうこともあります。 しかし、自然に治るのに時間がかかることや、それまでに増えてしまったり、周 囲の子どもたちに伝染してしまうことを考えると、数の少ないうち早目に治療することをお勧めします。 なお、伝染するからといっても学校を休む必要はあり ません。
治療は、水イボ用のピンセットでイボをつまんで、中に詰まっている固まりを出してしまうのが一般的です。 痛みを伴うのが難点で、イボを軟かくしたり、特 殊な液体で溶かしたりする方法など工夫がなされてもいますが、一長一短があり、いずれも満足できるものではありません。
やはり数の少ないうちに治療することや、日ごろからシッシンなどを治療しておくのが一番のようです。
フリーページ